うつわの力

先日、長谷川塑人先生のお宅を訪問いたしました。
新しい作品の撮影のためです。
いつものように撮影に時間がかかって、ふと時計を見るとお昼近く。
ちょっと昼食に行ってきます、と塑人先生にお声をかけたところ、
「お昼を用意したから一緒に食べよう」ということになりました。
恐縮しながらも、生来の厚かましさが顔を覗かせて、ご相伴に預かることに。
奥様のとっておきの手料理を美味しくいただきました。

このとき感動したのは、奥様の料理の味もさることながら、
うつわの見事さでした。
漆の折敷の上には、手前に塑人先生の手による赤絵の飯碗と鉄絵の長皿。
奥には漆のうるみ汁椀に、塑人先生の奥様が作られたという渋い青磁の向付が添えられていました。
シンプルといえばこれ以上ないくらいにシンプルな組み合わせなのですが、
それらが静かに調和しているさまは、ある高みの境地を見せられているようでした。
うつわって凄い、とあらためて思わされました。

会社に戻り、いつものようにメールをチェックすると
先日お買上げいただいたお客様からメッセージが入っていました。
それを読んで、またまた感動いたしました。
今日、塑人先生のお宅で自分が持ったような感情を、お客様もまた、別の場所で感じていたことを知ったからでした。
思いを共有する喜び、不思議な同時性というものを実感いたしました。

お客様のメッセージは以下のとおりです。

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いつも御丁寧なメールを頂きありがとうございます。ずいぶんと久しぶりに器を選ぶ わくわくした思いを楽しんでおります。忙しさと物持ちのよさ(笑)でふだんの食卓を整えることが私の中では日常の作業になっておりました。先日、仕事を終えおなかぺこぺこで帰省した娘が、食欲の誘惑にも負けず第一声、この器、素敵!でした。皆様の、多彩な魅力ある作家や窯元の作品選びがあってこそです!それぞれの器に添えられたメッセージやサイズ、写真も大変役立っています。これからも楽しみにお邪魔させていただきます。毎日、器からエネルギーをもらってます。 

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器から発するエネルギーが誰かの心を揺らすことがあります。
そして、幸せな気持ちにさせる。それがうつわの力なのかもしれません。
そういう力あるものを皆様にお届けしたいと強く思いました。

お客様、心温まるメッセージ、本当にありがとうございました。

じろや 小高

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